東京都自由が丘のクラフトサロンEarthia Wisteriaの店主です。
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昨日の東京は一転して肌寒い日でしたが本日はまた春の一日、、、寒いのが大の苦手な店主にとりましては待ちに待った春、本当に気持ちが良いです。
本日も前回に引き続き大島紬の生地に有松絞りを施したコラボレーションによる試作品をご紹介させていただきますが今回はストールではなくファブリックサンプル(反物の一部)です。
これまでの試作品と同じく鹿児島県の大島紬工房「大島紬 秀円」と愛知県の有松絞り工房「スズサン」による合作です。
それぞれの工房/会社のご紹介及び工芸の歴史なども掲載されておりますので最初の記事もその折の作品と併せてご参照くださいませ。
http://earthia-w.seesaa.net/article/392404191.html
また、これまでの作品も併せてご参照ください。
http://earthia-w.seesaa.net/article/393153939.html
http://earthia-w.seesaa.net/article/393452265.html
http://earthia-w.seesaa.net/article/393752227.html
ではまず今回の写真をご覧ください。
これまでの試作品には伝統的な大島紬とは異なります謂わば現代大島紬とも呼べる生地を用いておりましたが今回は非常にオーソドックスで伝統的な梔子色の無地の「夏大島」を用いております。
伝統的な大島紬といいますと色柄こそ多数ございますが生地の風合い自体はどちらかといえば少しペタッとしてシャリ感のあるものをご想像される方々が多いことと思います。
こちらの「夏大島」もそのような典型的なものの一つで経糸/横糸共にかなり細い絹糸を用いて織られておりますのでそのような風合いに加えて夏場も快適に着用できますように透けるような薄さを持っており非常に爽やかな肌触りの織物となっております、またそれぞれの糸が細いということは織り上げる手間もその分かかるということでもあります。
また今回は絞りの方も非常に伝統的な絞りの一つ「やたら三浦絞り」が施されております。
もともとは豊後(大分県)の三浦木綿に施されておりました絞りの技法の一つで江戸期に豊後から絞りの一大産地となっておりました尾張(愛知県西部)の有松・鳴海地区に伝わったといわれており同地区では当初大豆を生地に括って染めていたことから「豆絞り」と呼称されますこのような絞りを特に「三浦絞り」と呼び現在も大切にその技法が継承されております。
こちらの絞りはそのような絞り文様がランダムに飛んでおりますことから「やたら三浦絞り」の名前がついております。
また染料も伝統的な藍が用いられておりその濃いめの落ち着いた色はやはり風格のようなものが感じられます。
こちらのファブリックは黒に近い濃紺に鮮やかに梔子色(こちらの方が夏大島紬の地色)の細かな絞り柄が浮かび上がっておりそれぞれ伝統的な大島紬の生地と有松絞りの柄であるにも関わらず落ち着いた中にも非常にインパクトのある味のあるものに仕上がりました。
まだこちらは試作段階ではありますがクオリティーといたしましては申し分なく非常に興味深いファブリックでありますことは間違いございません。
これまで5度にわたり我が国の誇る2つの伝統工芸によるコラボレーションを一人でも多くの皆様に知っていただきたく試作品をご紹介させていただいてきましたがひとまず今回で一段落となります。
展示販売可能な作品も近日中には完成いたしますのでそちらもぜひご期待くださいませ!
店主